論文要旨(Abstract)一覧

情報価値に基づくプロジェクト組織の評価と設計
― コミュニケーション計画の視点から ―

石井 信明、 石井信明、 大場允晶


プロジェクトの成功には,プロジェクト組織構造と組織内のコミュニケーション・リンク構造について,十分な計画を練ることが欠かせない.本稿では,プロジェクト組織を構成するサブ組織間のコミュニケーション・リンクの構造から,Webページのランキング計算の原理を応用して,各サブ組織の持つ情報価値を導き出す.さらに,実行するワークパッケージの重要度から求める各サブ組織の重要度と各サブ組織の情報価値との距離からプロジェクト組織構造の評価指標を定める.その上で,あるべきプロジェクト組織構造とコミュニケーション・リンク構造を導く設計手法として,評価指標の最小化を目指す手法を開発する.設計手法の有効性を,簡単なプロジェクト組織構造の設計を例として示す.


ジャンプ拡散モデルに基づくオープンソースプロジェクトの開発工数予測モデルの提案

大野 晃太郎、 田村慶信、 山田茂


ソフトウェアプロジェクトを管理する上で,開発工数を推定することは重要な作業である.特に,オープンソースプロジェクトの特定バージョンのリリースに必要とされる開発工数は時間の経過とともに複雑に変動していくため,プロジェクトの状況を定量的に評価することが難しい.本研究では,開発工数に与える不規則な変動をジャンプ拡散項として考慮し,Wiener過程とジャンプ拡散過程に基づくプロジェクト進捗管理のための開発工数予測モデルを提案する.また,オープンソースプロジェクトに対するモデルの適用例を示すために,実際のオープンソースプロジェクトにおけるバグトラッキングシステム上のデータを分析する.


オープンイノベーションに関する能力の成熟度評価の提案

北 寿郎、 松本潤一


近年、日本企業においてもオープンイノベーションの重要性が認識され、様々なプロジェクトでオープンイノベーションの取り組みが行われている。しかし、そこで重視されているのは、内部のニースと外部のシーズのマッチングであり、オープンイノベーションを成功に導くための組織能力という視点からの考察はほとんど行われていない。 本研究では、オープンイノベーションに関する欧米および日本国内における様々な事例や研究成果をもとに、PMMIにも通ずるオープンイノベーションの成熟度評価の枠組みを提案する。


不正侵入と対策

佐藤 直樹


情報セキュリティの事故・事件は会社の信用と会社の経営にも大きな影響を及ぼすので、経営陣が真剣に対処しなければならない重要な問題になってきている。今日のビジネス環境では、セキュリティマネジメントはビジネスマネジメントと同様に重要である。特に、企業機密とその管理状況に関して情報セキュリティ監査を実行することによって機密の情報漏えいや不正侵入に起因する事故を防止することが重要である。 監査の一法としてサーバー室等各部門を図式化することによって,各部門や部屋への通路で発生するリスクを事前に想定することにより,効率的な監査も検討した。しかしながら情報セキュリティ監査で不正侵入してくる侵入者を時系列的に察知し把握することは容易ではなく、一応のリスクは予知できるが、さらに不正侵入者の様に動的に動く対象をダイナミックにとらえる手法について論じる。


オープンソースプロジェクトに対する開発工数予測のための確率微分方程式モデルとその応用

曽根 寛喜、 田村 慶信、 山田 茂


ソフトウェアプロジェクトの開発工数を推定することは,進捗状況を管理する上で非常に重要となる.特に,オープンソースプロジェクトにおいては,開発者のスキルレベルの違いや開発環境などの要因が,オープンソースソフトウェア(Open Source Software,以下 OSSと略す)のデバッグプロセスと品質へ影響を与えることが多く,OSS開発に必要とされる投入開発工数は,時間の経過とともに複雑に変動していくものと考えられる.本研究では,Wiener過程に基づく開発工数予測モデルからコスト効率指数(Cost Performance Index,以下 CPIと略す)および変動係数を提案し,CPIおよび変動係数からプロジェクトの安定性について考察する.


営業部門向けプロジェクトマネジメント研修の実施成果について

野元 拓也


システム開発技術者にとってプロジェクトマネジメントの重要性はかなり浸透してきた.一方,営業部門にとってはプロジェクトマネジメントの認知度は未だ十分ではない.その様な状況下で,プロジェクトの受注活動の段階から高リスクの受注案件が増加している.それらのプロジェクトはシステム構築が開始すると,リスクが顕在化しトラブルプロジェクトとなるケースが多い.その原因の一つは,営業部門のメンバがプロジェクトマネジメント,特にリスクマネジメントやステークホルダとのコミュニケーションマネジメントに対して十分理解できていない事にあると想定した.その為,本対応策として営業部門メンバを対象としたプロジェクトマネジメント研修を企画し実施した.しかし実際に本研修を実施したところ,受講者の多くが問題意識を持ち,質の高い受注を目指していることも分かった.それに応える為,見直しと改善を繰り返した.本論文では営業部門向けに実施した本研修について,その実施概要,および実施にあたって工夫した点と実施後の受講者の反応について論じる.また本実施結果を踏まえて,今後の改善点にも言及する.


開発効率向上への影響要因に関する考察

宮本 由美、 草刈敏幸、 清水理恵子


一般的に,標準化された作業プロセスに従った開発を繰り返すことによって習熟度が増し,開発効率が向上する傾向がある.したがって、開発にかかる工数を見積もる際には、開発期間中の開発効率の向上を見込むことが多い.しかし,同じ作業プロセスに従って開発を繰り返しても,しばしば開発要員の間で開発効率の向上に差が生じる. システム開発のプロジェクトにおいてQCD(Quality, Cost, Delivery)を達成するためには,見積時の想定通りに開発要員の開発効率が向上することは重要である. そこで,我々は開発効率向上と習熟度評価の関係性に着目し,開発効率向上への影響要因に関して考察する.


中小企業のプロジェクトにおける失敗要因の分析と分類

保田 洋、 西村 治彦


 プロジェクトマネジメントではQCD(品質:Quality,コスト:Cost,納期:Delivery)という言葉がよく使われる。プロジェクトマネジメントにおいて、QCDは重要なマネジメント要素であり、プロジェクトを成功させるために守らなくてはならない項目でもある。  著者らは中小企業への支援活動を行ってきたなかで、ほとんどの企業がプロジェクトを上手く回せないという、問題を抱えている状況が見受けれた。そこで、失敗したプロジェクト内容と要因に関する報告を収集し、プロジェクト毎にQCDへの影響の重み付けを行った。さらに、失敗につながるキーワードを報告から抽出し、失敗要因の分析と分類を実施した。