支部長からのご挨拶

支部長からのご挨拶

 

 2019年4月にプロジェクトマネジメント学会関西支部長に就任いたしました大阪大学大学院情報科学研究科の楠本真二です.大学4年の卒業研究以来約30年間,ソフトウェア工学,特にソフトウェア開発の定量化(ソフトウェアメトリクス)に関係した教育・研究に携わってきております.プロジェクトマネジメントそのものの専門家ではございませんが,プロジェクトマネジメントと関連が深い,見積り,品質保証技術,プロセス改善等についても研究を行ってきました.その関係で,2011年4月に関西支部が設立されてから,これまで支部の活動に参画させていただいております.

 学会の重要な役割の一つに,産業界と学界の協同の場を提供するということがあります.近年,ソフトウェア工学分野では,開発現場のニーズと研究されている内容の間にギャップがあると言われています.ある報告では,現場の技術者は見積りや生産性向上のための開発方法を重視している一方で,研究者の主要なテーマはテスト/デバッグ手法や形式的手法のような品質に関するものが多いと指摘されています.見積りや生産性に関する実践的な研究を行うためには多くのプロジェクトに関する様々なデータが必要となりますが,そのようなデータは簡単に大学側で利用することはできません.その反面,最近ではオープンソース・ソフトウェアの開発データが比較的自由に手に入りますので,テスト/デバッグ等の研究はやりやすい環境にあります.このギャップを埋めるための一つの方法は,産学連携による研究の実施です.私自身も様々な学会での活動を通じて,何度か共同研究をさせていただきましたが,現場の技術者の方々と協働することで生の課題を知ることができ,その成果が実際に利用されるという点で,研究に携わった学生共々非常にやりがいのある研究となりました.関西支部においても,プロジェクトマネジメントに関連したテーマで,共同研究を推進できるような機会を設けることができればと思っております.

 関西支部も2020年で10年目を迎えます.関西支部は「関西地域の特性を加味しつつ,産学一体となった活動を行い,プロジェクトマネジメント技術の高度化と人材育成によって地域発展へ貢献していきます」という設立趣旨のもとで,歴代支部長,支部役員,運営委員の皆様のご尽力,支部会員の皆様のご協力をいただき,活動を行ってまいりました.春季・秋季のシンポジウムでは,様々な業界におけるプロジェクトマネジメントに関連したユニークな基調講演をいただいております.また,支部研究会の活動も推進しております.今年度からは「関西 人工知能(AI)と統計モデル研究会」(略称:関西AI研究会)が活動をはじめており,産学連携の活動の輪が広がってきております.これらの活動の成果を,春季・秋季研究発表大会,ProMAC等をはじめとして,各方面に情報発信するとともに,次の10年に向けた関西支部の活動について考えていきたいと思っております.皆様の引き続きのご支援をよろしくお願い致します.

 


プロジェクトマネジメント学会 関西支部 支部長
 大阪大学 大学院情報科学研究科 教授
 楠本 真二